相子智恵
ふくろふに昼の挨拶してしまふ 尾池葉子
『ふくろふに』(2014.11 角川学芸出版)より
挨拶ができるほどの距離感と長閑さだから、この梟は野生の梟ではなく、動物園やペットショップなどで飼育されている梟なのだろう。
梟は夜行性だから、本来は「こんばんは」という夜の挨拶が妥当なのだろうけれど、昼間に動物園かどこかで見たせいか、梟の檻の前でつい「こんにちは」と昼間の挨拶をしてしまったというのである。とぼけた面白みのある句だ。
〈ふくろふ〉〈してしまふ〉という歴史的かなづかいの「ふ」が活きていて、掲句ののんびりとした内容が文字からも感じられてくる。
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