2018年1月22日月曜日

●月曜日の一句〔大石雄鬼〕相子智恵



相子智恵






福耳を潰してねむる冬銀河  大石雄鬼

「きらめき」(「俳句四季」2018.2月号 東京四季出版)所収

仰向けではなく横向きになって眠っている。下側になった耳は枕に押し潰されている。ただの耳ではなはく「福耳」というのが面白い。

「冬銀河」は夢の中で見えているのかもしれないが、幻想的で大胆な取り合わせだ。〈福耳を潰してねむる〉という書き方は、眠っている自分(別の誰かかもしれないが)を外側から見ている感じがあり、その外側とは「冬銀河」からのように感じられてくる遠近感が不思議さを招き入れる。福耳のめでたさと、冬銀河の光の輝きが響き合っているようにも思う。それでいて福耳は潰されていて、ただ美しいというものでもない。不思議に印象に残る句である。

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