相子智恵
ハロウィンの血糊描き足す少女かな 花野くゆ
句集『子の鞄』(角川文化振興財団 2018.9)所収
今では日本最大級であるらしい川崎のハロウィンパレードが始まった1997年当時、私は川崎に住んでいたのだけれど、このパレードに新しさを感じたものだ。しかしそれから20余年が経ち、ハロウィンもすっかり世の中に定着した。新しい季語はこうしてできあがるのかと、なんだか生き証人になった気分である。
掲句、仮装の少女が血糊を描き足している場面に遭遇した。少女にとっては、血糊もその日だけのおしゃれなのだ。友達と面白がりながらも真剣に、どうしたら自分がかわいく見える血糊にできるか、鏡を覗き込みながら描き足しているのだろう。ユーモラスな街角スケッチの中に、確かに現代が捉えられている。
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