2024年9月13日金曜日

●金曜日の川柳〔藤井智史〕樋口由紀子



樋口由紀子





銀シャリにはなれぬ チャーハンにはなれる

藤井智史(ふじい・さとし)1979~

「銀シャリ」と「チャーハン」の双方を対峙させ、「銀シャリ」に軍配を上げ、敬意を表している。特に今の時期は新米が貴重で、美味しい。銀色に輝く白い炊き立てのごはんに勝るものはない。何も手を加えないで、そのままで勝負して、高い評価を受ける。それを超えるものは確かにない。

「なれぬ」「なれる」にいろいろな漢字を当てはまる。「成る」「為す」「慣れる」「馴れる」と、そのどれもがそれぞれ微妙に意味が違ってくる。

よく川柳で平明で深い句がいいと言われるが、それが出来るなら苦労はしない。平明だけでは深くならないから、どうにかしようとあっちこっちに手を入れたり、足したり、引いたりする。私はチャーハンに軍配を上げたい。『十三月に追い風』(2024年刊 新葉館出版)所収。

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