樋口由紀子
花束を腐らせてこそ女の子
暮田真名(くれだ・まな)1997~
男性から花束をもらったのだろうか。花束をもらえば、だれだって喜ぶというのは単なる刷り込みに過ぎない。究極の憎しみだろう。「腐らせてこそ」は圧巻である。「捨てる」「枯らす」とは比べものにならないくらいのインパクトであり、悪意がある。動詞の威力が衝撃度MAXに発揮されている。
「腐らせる」というのはずっと手元に置いておくということである。じわじわと首が絞まるように、萎れていく様子を、時間をかけて、自らは手をくださないで、だまってながめている。それでこそ「女の子」であると気持ちいいくらいに高々と宣言している。「What’s」7号(2024年刊)所収。
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