
まつりぺきん
死後ごめん海まで戻る自信ない 中山奈々
海をモチーフとした連作の最後の一句。
死ぬと自然に返るのなら、海は生命が生まれた場所であり、帰る場所でもあります。
それなのに、そこ「まで」、戻ることを確約できないというのです。
本当は戻りたいけれど戻っていいものかということへの躊躇いのようでもあり、戻る資格などないという自嘲のようでもあり、いずれにせよ、誰か(何か)への負い目のようなものを伴っているようです。
助詞を省いた「自信ない」には、頼りなさげに弱音を吐露するようなニュアンスがあり、死後のことまで先回りして心配する主体の優しさや寂寥感が滲みます。
また、上五で「死後」と「ごめん」が切れ目なく続くことは、「死んでから謝る」のか、「死後そのものへの詫び」なのか、その境界も曖昧です。
「ごめん」は現在の時制とも未来の時制とも読め、それは心の深いところにある、いつかの、誰かへの謝罪なのかもしれませんし、自分自身への謝罪なのかもしれません。
「しい」(『川柳EXPO2024』2024)より。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿