2012年5月11日金曜日

●金曜日の川柳〔杉野草兵〕 樋口由紀子


樋口由紀子








五十歳でした つづいて天気予報


杉野草兵(すぎの・そうへい)1932~2007

ゴールデンウイークが終った。華やかで賑やかなニュースの一方で悲しくて痛ましい事故や事件が後を絶たない。やりきれない思いを抱いている間に、画面はあっという間に次の出来事に切り替わっている。そんなニュースを聞きながら、ふとこの句が口をついて出てきた。

ラジオかテレビのアナウンサーの言葉を川柳に仕立てたのだろう。「五十歳でした」というのだから、訃報だろう。人の死を伝えたそのすぐ後に同じトーンで天気予報が続く。生も死も隣り合わせのひとコマであり、表裏である。現実の一場面をなにげなく突いて、皮肉っている。

杉野草兵は青森の地から川柳の文芸性を高めるために「川柳界の芥川賞」といわれた川柳Z賞を創設し、全国に門戸を開き、後進を育てた。〈あいつは死んだかな防波堤の右が北〉〈遺影なき葬送聖歌第二六六〉 杉野草兵集『C』(かもしか川柳文庫第21集 1989年)所収。

2012年5月9日水曜日

●蜘蛛

蜘蛛



蜘蛛の囲に蜂大穴をあけて遁ぐ  右城暮石

ぱつと火になりたる蜘蛛や草を焼く  高浜虚子

夕雲をつかみ歩きて蜘蛛定まる  西東三鬼

蜘蛛の糸一筋よぎる百合の前  高野素十

蜘蛛夜々に肥えゆき月にまたがりぬ  加藤楸邨

蜘蛛の囲のかかればすぐに風の吹く  石田郷子

父疾うに喰はれて蜘蛛の赤ん坊  佐山哲郎

蜘蛛の巣の壊れてしまふほど音痴  山下つばさ〔*〕


〔*〕『俳コレ』(2011年12月・邑書林)より

2012年5月8日火曜日

●「彼方からの手紙」第4号配信のお知らせ

「彼方からの手紙」第4号配信のお知らせ

山田露結


本日5月8日(火)より俳句通信「彼方からの手紙」第4号の配信がはじまりました。

え?

「彼方からの手紙」をご存じない?

ほら、アレですよ。

コンビニのコピー機から俳句が出てくるアレ。

今回はゲストに鴇田智哉さんをお迎えしました!

なんと、鴇田さんは謎の俳人(?)乱父氏と二人組ユニット「T&lamp」を結成しての登場です。

テーマは「音楽」。

さあ、どんなことになっているのでしょう。

ぜひあなたも「彼方からの手紙」を受け取って下さい。

受け取り場所は全国のセブンイレブン、またはサークルKサンクスです。

♪ら~ぶれた~ふろ~むかな~た~

※「彼方からの手紙」は山田露結と宮本佳世乃がコンビニのマルチコピー機を利用して配信する俳句通信です。≫http://yamadarockets.blog81.fc2.com/blog-entry-820.html


「彼方からの手紙」の受け取り方(セブンイレブン)

1.セブンイレブンへ行く。
2.マルチコピー機の「ネットプリント」を選択して予約番号を入力する(プリント料金60円)。
3.手順に従ってプリントを開始する。

予約番号34179505
プリント料金60円
配信期間5月8日(火)~15日(火)23時59分まで
配信場所 全国のセブンイレブン セブンイレブンネットプリント


「彼方からの手紙」の受け取り方(サークルKサンクス)

1.サークルKサンクスへ行く。
2.マルチコピー機の「ネットワークプリント」を選択してプリント料金60円を投入。約款を確認し「同意する」ボタンを押す。
3.ユーザー番号を入力後、手順に従ってプリントを開始する。

ユーザー番号Q786BZYX9G
プリント料金60円
配信期間5月8日(火)~16日(水)05時00分まで
配信場所 全国のサークルKサンクス サークルKサンクスネットワークプリント
リンク

2012年5月7日月曜日

●月曜日の一句〔佐藤郁良〕 相子智恵


相子智恵








代田いま星の呼吸をしてをりぬ
  佐藤郁良

句集『星の呼吸』(2012.4/角川書店)より。

夏が立ち、田植前の水をたたえた代田を見かけるようになった。すでに苗が植えられた田もちらほらとある。

代田のトロリとなめらかな泥の質感は、稲という主役の生命はまだなくて静かな状態ではあるものの、すでに息づいているように見える。

掲句は夜の代田である。街灯の少ない、星がよく見える田園の夜だ。泥の水田はてらてらと、月明りに照らされて光っている。目を上げれば初夏の星と月もまた、水気を含んでぼんやりと光っている。天も地も一様に、水の潤いに満ちているのだ。

〈星の呼吸〉に、そんな天と地の瑞々しい呼応が思われてくる。叙情的で美しく、スケールの大きな風景句だ。

2012年5月6日日曜日

〔今週号の表紙〕第263号 軍鶏 常盤優

〔今週号の表紙〕
第263号 軍鶏

常盤優



春休みのちびっこ動物園は、親子連れでにぎわっていた。モルモット、ハツカネズミ、ひよこが人気物だ。

カメラを抱えてぼーっと佇んでいて、ふと足元を見るとこいつがいた。いかつい面構え。ぶっとい足。しかも、でかい。近くにいた親子連れは視線釘付けのまま、かたまっている。彼はカメラ目線をキープして離れようとしない。黒光りする背中をなでてやったら、ぺったり五体投地した。

馬も軍鶏も生まれつき性格のおだやかなものがあるという。そういう個体は競走馬や闘鶏にはもちろん向かず、食用になるか愛玩用になるのだそうだ。大地も日差しも軍鶏の背中もあたたかい一日だった。


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