2013年2月5日火曜日

●Elvis Presley

Elvis Presley


ああ立春の腰のあたりがプレスリー  佐山哲郎

エルビスのもみあげ長し春燈  松本てふこ〔*

プールまで聞こえてプレスリーの曲  水田光雄


〔*『俳コレ』(2011年12月・邑書林)より


2013年2月4日月曜日

●月曜日の一句〔小滝徹矢〕 相子智恵

 
相子智恵







山焼くや人にプロメテウスの業  小滝徹矢

句集『祗園囃子』(2012.7 本阿弥書店)より。

ギリシア神話でプロメテウスは、土塊から人間を造り、技術を授けた神。ゼウスから火を盗んで人間に与えたために怒りを買い、コーカサスの岩山で生きながらにして鷲に肝臓を食われ続けるという苦役を与えられる。

〈山焼く〉は、早春の山の枯木と枯草を焼き払う季語。飼草や山菜の発育を促し、害虫を駆除するために焼き払うのである。

天上から火を盗んで人間に与えたプロメテウスと、日本の伝統的な山焼きが取り合わされている。火を与えられた人間には〈プロメテウスの業〉もまた、与えられたのだという。技術と火を手に入れ、自分の利益のために野山を焼き払うことができるようになった人間たちに、業の深さを見ているのだ。山焼きの句としてハッとさせられる視点である。今はこれに加えて「第二のプロメテウスの火」といわれる原子力のことも、思わずにはいられない。 


2013年2月3日日曜日

〔今週号の表紙〕 第302号 市場深夜

今週号の表紙〕 
第302号 市場深夜



撮影場所は、東京・築地市場の場外。深夜。

毎日機能している場所は、雑然としているようで、よく見ると、隙がない。機能するために必要な整頓がなされているからでしょう。

(西原天気・記)



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2013年2月2日土曜日

●友



友ら護岸の岩組む午前スターリン死す  佐藤鬼房

怒らぬから青野でしめる友の首  島津亮

友だちのなき麦笛を鳴らしけり  富安風生

晩婚の友や氷菓をしたたらし  西東三鬼

よき友はものくるる友草紅葉  田中裕明

初釜や友孕みわれ潰れゐて  八木三日女

手をあげて此世の友は来りけり  三橋敏雄

2013年2月1日金曜日

●金曜日の川柳〔田路久見子〕樋口由紀子



樋口由紀子







拾われる自信はあった桃太郎

田路久見子 (とうじ・くみこ)

山田露結句集『ホームスウィートホーム』の中原道夫の跋で掲句に久しぶりに出合った。
〈たんぽぽに踏まるるつもりありにけり 露結〉、これは現代川柳の「拾はれる自信はあつた桃太郎」を彷彿とさせる。
こんな、思いがけない再会もあるんだと嬉しくなった。田路久見子の顔が浮んだ。久見子は川柳の場での最初の友人で、ほぼ同年齢だったのでよく一緒に行動した。

中原は「若し拾われなかったとしたら、という噴飯ものの〝仮説〟を立てる」「痛快な一句である」と書く。

時実新子の『花の結び目』でもこの句は紹介されている。新子は「拾われなかったらどうなる。などは微塵も考えない生きざま」にいたく感動し、「もしかして、私はこの考え方で流れ来たのではあるまいか」と述懐している。『花の結び目』は新子の川柳私史的な性格を帯びたものなので、余計に自分にひきつけて鑑賞しているのだが、その対比は興味深く、俳句と川柳の読みの一端がうかがえるような気がする。