樋口由紀子
こんな手をしてると猫が見せに来る
筒井祥文 (つつい・しょうぶん) 1952~
猫がひょいと人の手に猫の手(正確には前足)をのせる動作をすることがある。猫好きにはたまらない仕草であるらしい。その所作を猫がこんな手をしているんですと見せに来ているという。いやいや、そうではない。もちろん作者だって見せに来ているのではないことはわかっている。が、人間側からの勝手な見方をおもしろく川柳に仕立てる。見つけの上手さがあり、あそびごころがある。
最近話題の『猫俳句パラダイス』(倉阪鬼一郎編 幻冬舎新書)にも取り上げられていて、帯にも載っている。「こういった奇想をさらりと表現できるのも現代川柳の持ち味です」と倉阪さんが書いている。『セレクション柳人 筒井祥文集』(2006年刊 邑書林)所収。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿