樋口由紀子
折れてくれ折れ線グラフなのだから
丸山進 (まるやま・すすむ) 1943~
ダイエットに励んでいる友人が折れ線グラフがなかなか下がってくれないと嘆いているのを聞いて、思い出した川柳。
「折れ線グラフ」と名前がついているのだから、ずんずん上がっていくばかりではなく、折れるのが折れ線グラフ本来の姿のはずである。もうそろそろ名前通りに折れてくれてもよさそうなのに、折れる気配がまったくない。だから、しびれをきらして切にお願いしている。
折れ線グラフに言ってもしかたがないことを折れ線グラフに言うのがツボで、泣かせどころ、笑わせどころである。上五「折れてくれ」のライブ感があり、下五「なのだから」で必死さが伝わる。まじめにふまじめでなんとも可笑しい。「バックストローク」(19号 2007年刊)収録。
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