リトル・チャロと芭蕉
福田若之
ふいにテレビを点けたら、『リトル・チャロ』に芭蕉の幽霊が出ていて驚く。
英語で話す芭蕉は、英語で話す犬よりも新鮮だった。物語は、伝記的な部分にやや雑な感じはあったけれど、それなりに愛の感じられる仕上がりだった。
300年もさまよっていた芭蕉の幽霊が、ほんの数分のアニメーションのなかで成仏してしまうというのは、たしかにあまりにも軽いように感じられはする。けれど、この軽さがいい。幽霊はあまり重すぎると幽霊ではなくなってしまう。
芭蕉を、俳聖としてでも宗匠としてでもなく、ふつうの人として敬うこと。会うまで芭蕉を知らなかったチャロの仕方で、芭蕉を敬うこと。チャロにお札をプレゼントして成仏していく芭蕉の笑い声が、どことなくサンタクロースを思わせたとしても。
2016/3/4
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