樋口由紀子
戦争も並んでいるか冷やしアメ
飯田良祐 (いいだ・りょうすけ) 1943~2006
姫路のゆかた祭が4年ぶりに開催された。好天に恵まれ、多くの人でにぎわった。「冷やしアメ」の屋台も出ていたのだろうか。「戦争も並んでいるか」で切って、場面移動しての「冷やしアメ」なのかもしれない。しかし、ここでは切らないで読んでいく。夏の縁日で長い行列が出来ている。甘くて辛みのある冷やしアメの屋台にも、老若男女、いろいろな人が並んでいる。そこに何食わぬ顔で「戦争」も並んでいる。
「戦争」を取り上げるのはとてもむずかしい。「戦争」とまったく別種の「冷やしアメ」を組み合わせる。無関係と思われるこんなところにも戦争は顔を出す。私たちは「戦争」と一緒に並んでいる。だれも気づかないのか、気づかないふりをしているのか。『実朝の首』(川柳カード叢書 2015年)所収。
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