神鳴や世の費なる落所 打越
勧進能の日数ふり行 前句
勧進能の日数ふり行 前句
厚鬢の角を互に抜あひし 付句(通算43句目)
『西鶴独吟百韻自註絵巻』(1692年頃)
【付句】二ノ折、裏七句目。雑。 厚鬢(あつびん)=月代を狭く、鬢を厚くとった神職等の髪型。
角(すみ)=額際。 歌舞伎用語案内 (https://enmokudb.kabuki.ne.jp/phraseology/phraseology_category/kabuki-no-katsura/kamigata-no-kisochishiki/)
【句意】厚鬢の額際を互いに抜きあった。
【付け・転じ】打越・前句=水神鳴に雨天順延の勧進能を付けた。前句・付句=雨天順延中の役者の描写で転じた。
【自註】奈良座*は皆神役(じんやく)の者、何(いづ)かたへもやとはれて、*地うたひ・はやしかたを勤めける、其の風俗隠れもなし。極めて厚鬢の男どもなり。雨の日は、楽屋入もせず、隙(ひま)成るまゝに、太夫かたより馳走の宿々にして、毛貫(けぬき)を慰めとするもをかし。
*奈良座=春日明神の下級神職の奉仕する猿楽座。
*地うたひ・はやしかた=詞章を謡う人・伴奏する人。
【意訳】奈良座はみな神職の者で、どこへでも雇われて行き、地謡・囃し方の役をつとめる。彼らの風俗は世間に知られて隠れもない。とても厚鬢の男たちである。雨の日は、楽屋にも入らず、暇にまかせ、勧進元から給せられた宿屋宿屋で、毛抜きを慰みにするのも面白い。
【三工程】
(前句)勧進能の日数ふり行
楽屋入り致さぬ宿のつれづれに 〔見込〕
↓
厚鬢の角の互に気になりて 〔趣向〕
↓
厚鬢の角を互に抜あひし 〔句作〕
雨の日の役者に視点を合わせ〔見込〕、どのように過ごしているかと問いながら、身だしなみに思いを定め〔趣向〕、厚鬢の額の両角を互いに抜きあう様子を詠んだ〔句作〕。
角(すみ)=額際。 歌舞伎用語案内 (https://enmokudb.kabuki.ne.jp/phraseology/phraseology_category/kabuki-no-katsura/kamigata-no-kisochishiki/)
【句意】厚鬢の額際を互いに抜きあった。
【付け・転じ】打越・前句=水神鳴に雨天順延の勧進能を付けた。前句・付句=雨天順延中の役者の描写で転じた。
【自註】奈良座*は皆神役(じんやく)の者、何(いづ)かたへもやとはれて、*地うたひ・はやしかたを勤めける、其の風俗隠れもなし。極めて厚鬢の男どもなり。雨の日は、楽屋入もせず、隙(ひま)成るまゝに、太夫かたより馳走の宿々にして、毛貫(けぬき)を慰めとするもをかし。
*奈良座=春日明神の下級神職の奉仕する猿楽座。
*地うたひ・はやしかた=詞章を謡う人・伴奏する人。
【意訳】奈良座はみな神職の者で、どこへでも雇われて行き、地謡・囃し方の役をつとめる。彼らの風俗は世間に知られて隠れもない。とても厚鬢の男たちである。雨の日は、楽屋にも入らず、暇にまかせ、勧進元から給せられた宿屋宿屋で、毛抜きを慰みにするのも面白い。
【三工程】
(前句)勧進能の日数ふり行
楽屋入り致さぬ宿のつれづれに 〔見込〕
↓
厚鬢の角の互に気になりて 〔趣向〕
↓
厚鬢の角を互に抜あひし 〔句作〕
雨の日の役者に視点を合わせ〔見込〕、どのように過ごしているかと問いながら、身だしなみに思いを定め〔趣向〕、厚鬢の額の両角を互いに抜きあう様子を詠んだ〔句作〕。
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厚鬢は上品だけど、地味で野暮な髪型って言われてますね。
「社人は烏帽子を被るから厚鬢なんや」
なるほど。けど、神職が芸能を副業としてるのは意外でした。
「神職いうてもな、春日の禰宜役者は下級の者らで仰山おったんやで」
その者たちが額際の毛を抜きあっている……という。
「なんや男色の匂いがするやろ」
恋の呼び出し、ですか。
「また引っかかりよった。ネタバレ禁止、言うてたやろ」
あ、そうでした。
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