むすめふさほせ 中嶋憲武
娘らは歌留多飛ばしぬ目が寄りぬ 笠井亞子
むかしむかしのお話です。3学期の始業式が済むと、全校挙げてのかるた大会というのが、わたしたちの中学の年の始めの習わしでした。わたしの住んでいる町は、むかしからかるたの盛んな町で、土地の名のかるたが有名ですが、わたしたちの大会は百人一首だったのです。アッちゃん、ミーちゃん、キミちゃんことわたしの3人から成るチーム桜小町は、2年生でしたが強く校内でも一目置かれていたのです。むすめふさほせはもちろんのこと、2枚札から16枚札まですべて覚えています。冬休みにアッちゃんの家に集まって、秘密の特訓をしました。アッちゃんのお父さんに札を読んでもらって、取る練習をするのです。わたしにはどうしても他の人に取られたくない札がありました。待賢門院堀川の「長からむ心もしらず黒髪のみだれてけさは物をこそ思へ」という艶っぽい歌です。札に目を凝らしていると、アッちゃんのお母さんが温かい不二家ハイカップを出してくれました。ありがたいのですが、温めるとちょっと甘過ぎるのであまり好きではないのです。
掲句は『はがきハイク』第3号(2011年1月)より
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2011年1月9日日曜日
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2 件のコメント:
憑依するノリタケ文体、今度は中学女子に!!
我が家はたいしてやりませんでしたが、姉妹が多い友人の話では歌留多は正月の重大行事(お年玉にも影響する)だったようです。 ちなみにウチはカルピス派でした。
ありがとうございます。
森永コーラスなんてのもありました。あと、ミルトンなんてのも。
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