相子智恵
琉金の鈴鳴るやうに寄りきたる 川嶋一美
琉金の鈴鳴るやうに寄りきたる 川嶋一美
句集『円卓』(2021.4 本阿弥書店)所載
〈琉金〉は、ぽってりと丸い金魚で、体をくねらせて尾びれを懸命に振りながら水中を進んでいく。スマートではないので推進力はあまり感じられない。なるほど、〈鈴鳴るやうに〉と言われてみれば、どことなく紐のついた鈴を振るように跳ねる感じがあって、面白い比喩である。〈寄りきたる〉が健気でかわいい。
「琉金」と「鈴」という金属を感じさせる涼しい字面と、リンリン、リンリンという鈴の音が想像されてくることで、目にも耳にも涼しさが感じられて、本格的に暑くなってきた今読むのにぴったりの、心地よい読後感のある一句である。
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