樋口由紀子
いい風が吹いて来たので手を上げる
鈴木せつ子 (すずき・せつこ) 1935~
「いい風が吹いてきた」とは運が向いてきたとか。社会が自分に都合のいい風が吹いてきたとかを思い浮かべてしまうけれど、ここでは余計なことを考えずに、そのままに、気持ちのいい風が吹いてきたと読むべきだろう。風が来て、条件反射のようにすっと手が上がる。素直な川柳である。
風に親しみをこめて、「やあ」とあいさつするように、あるいはタクシーを呼び止めるように手を上げる。風を止めて、風に乗っていきそうな雰囲気がある。生きているといろいろなことに出会う。しかし、ときにはこの風のように心を和ませてくれるものに出会う。だから、なんとか、元気に、生きていける。今年こそはいい年でありますように。
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