樋口由紀子
もう無性にキリン産みたくてたまらん
雨森茂樹(あまもり・しげき)
キリンを産みたくてたまらないというはどういう心のありようなのだろうか。まさか、あんなに首の長い大人のキリンだったらさぞかし難産だろうと余計な心配をする。少なくても赤ちゃんキリンだろうと勝手に安心したりもするが、それでも、わかるとはとうてい言いがたい。
人はそれぞれに、いつでも、ときどき、たまたま、そういうわけのわからないことを突然思ったりもする。そんな心情を一気に「たまらん」と畳みかけている。こんなに現実感もリアル感もないのに、現実感やリアル感で迫ってくる川柳はめずらしい。「おかじょうき」(2023年刊)収録。
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