樋口由紀子
ぼくたちはつぶつぶレモンのつぶ主義者
なかはられいこ 1955~
「ぼくたちは」といきなり出てきて、リズミカルで高らかにマニフェストする。まずは心地よく驚かされる。「主義者」という重みのあるカタイ言葉に、みずみずしい「つぶつぶレモン」を組み合わせ、それに「つぶ」の存在感と質感を伴わせ、画面を爽やかにおしゃれにする。言葉の質の違いを上手く活用している。
「つぶつぶレモンのつぶ主義者」は王道ではないだろう。だから、あえて演出がかった言葉遣いで明るく嫌みなく表明する。新鮮な気持ちで自らを再確認し、「ぼくたち」を意味あるものに押し上げている。『くちびるにウエハース』(2023年刊 左右社)所収。
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