相子智恵
一匹の芋虫にぎやかにすすむ 月野ぽぽな
句集『人のかたち』(2024.7 左右社)所収
毛虫は、びっしり生えた毛そのものが、見た目にも賑やかであるが、芋虫はそうではない。緑色一色か、揚羽の幼虫であれば目玉のような柄や黒い斑があったりもするけれど、毛虫にくらべれば、存在そのものが賑やか、というわけではない。
この賑やかさは、まさに「動き」の伸び縮みの賑やかさ、「うねり」の賑やかさなのだ。芋虫が伸び縮みして、うねりながら進んでいく。丸々とした大きな一匹ではないだろうか。踊るように賑やかに進む存在感。何か楽しくなってくる一句である。
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