樋口由紀子
光るのを拒めずにいる星の数
戎踊兵
夜空に輝く満天の星のなかには光りたくない星もあるのだろう。慣習的に、任務的に、強制的に、光っているものもあるのかもしれない。星は光るものだという思い込みが星自身にも部外者にもあり、それを「拒む」のはかなりエネルギーがいる。だから、諦めて、しかたなく、右に倣って光っている。
日常会話や小説などでよく聞いたり言ったりする言葉に「星の数ほど」がある。星の数ほどいっぱいという意味である。人間もしかり。同調圧力で「拒めず」にいる人が世の中にはたくさんいる。意味深な、メッセージ性の強い川柳である。「おかじょうき」(2024・8月号)収録。
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