2011年5月23日月曜日

●月曜日の一句 相子智恵


相子智恵








大混沌押し上げ春の抜け来たり
  佐怒賀正美

『俳壇』2011年6月号「春」より。今年の春は、自分がどんな立場であっても、心が乱れなかった人はいないだろう。自分にとって俳句とは何かという根源的な問いにも、俳句に何ができるかという同調圧力を持った問いにも、私の中でまだ答えが出ていない。こういう問いはきっと、一生持ち続けるべき問いなのだ。早く答えを出してラクになってはいけない問いなのだ。その中で、この句の「大混沌」という言葉に、逆に妙に心が静まった。いつだって俳句が私にくれる果報は大きい。私が俳句にできることなど、ひとつもないのに。

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