「存在価値」という言葉のあやうさ
福田若之
計り知れないとは計測可能なはずの量が度を越えているということだ。それは、数直線の彼方にあるということだ。
かけがえのなさは計り知れないのではなく、そもそも計りえない。それはいかなる数直線上にも値として載せることができない。
ここに「存在価値」という言葉のあやうさがあるように思う。この言葉は、かけがえのなさについて言うのに用いられることがある。けれど、この言い方を、かけがえのなさに対して用いる場合、ひとはそれを計り知れなさだと錯覚しかねない(有限にせよ無限にせよ、とにかく「値」ないしはその延長線上であるように思わせてしまう)。だから、僕は「存在価値」という言葉をこの意味では使わないようにしたい。
2016/4/14
0 件のコメント:
コメントを投稿