樋口由紀子
ちゅうちゅうアイス今日は八月十五日
草地豊子 (くさち・とよこ) 1945~
暑いのでちゅうちゅうアイスを吸っている。今日は八月十五日。「八月十五日」が持っている重みが「ちゅうちゅうアイス」の甘さと冷たさと重なり、照らし出す、と、なんとか辻褄を合わせて心情的に読んでみようとしたが、軽くいなされる。しいて結びつけるなら、ふつうに生活できることのありがたさだろうか
「今日は八月十五日」と並べた「ちゅうちゅうアイス」は迫力がある。はぐらかされながら、はっきり見えないもやもやが立ち上がってくる。意図しないような演出がもっとも意図的な演出になる。『セレクション柳人 草地豊子集』(邑書林 2009年刊)
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