樋口由紀子
妻の実家で縄跳びをして過ごす
金築雨学 (かねつき・うがく) 1941~2020
お盆の帰省かなにかで妻の実家に来ていて、妻は久しぶりに会った両親や兄弟と楽しそうにしている。子ども頃の話や夫の知らない親族の話など、家の中はにぎやかで、ときおり大きな笑い声も聞こえてくる。しかし、夫は庭で縄跳びをしている。話に入れないし、邪魔をしてもいけない。夫の心情をなんとなく伝えている。
まだまだ強い男が幅をきかせていた時代に、図式的な夫像を反転させた。こんなことはまずないという前提に立ち、それを逆手にとって、新しいキャラクターの夫を作り上げた。不器用でやさしい夫は徐々に人気を博してくる。『川柳作家全集 金築雨学』(新葉館出版刊 2009年)所収。
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