2011年6月19日日曜日

〔今週号の表紙〕第217号 渡良瀬 

今週号の表紙〕
第217号 渡良瀬

宮本佳世乃


あるところに行って思いだした質感というのは、ほんとうになって私のそばに寄りそう。
消えることがない思いは、生きている限りたくさん積もる。
それ以上でもそれ以下でもない。
それらを引き受けていくことがすべて。

いつも、どこかに境界がある。
すこし俯瞰できればいいのかもしれないけれども、そうすると何かが遠くなる。
その何かが、やけに人心地があって、すこし俯く。

くらくらしたまま、離さずに、離れていく。

写真は渡良瀬渓谷・下松島橋(わたらせ渓谷鐵道小中駅近く)。雨あがりに。

2 件のコメント:

猫髭 さんのコメント...

浅川マキの歌に「赤い橋」(1971年)という歌があり、毎日那珂川にかかる海門橋という赤い橋を渡って、大洗にある板金工場まで那珂湊から通っていた昔、「不思議な橋がこの町にある。渡った人は帰らない」というこの歌を毎晩のように聞いていたことを、この写真を見て思い出しました。結界のような、いい写真です。

佳世乃 さんのコメント...

猫髭さん、ありがとうございます。
その橋、渡ってみたいです。