父
父の座に父居るごとく雑煮椀 角川春樹
父病めば空に薄氷あるごとし 大木あまり
押し花や熊楠もまた父たらむ 橋本 薫
父よ父よとうすばかげろふ来て激つ 中村苑子
遠泳や父を遥かにはるかにす 行方克己
悲壮なる父の為にもその日あり 相生垣瓜人
父も父の万年筆もとっくになし 池田澄子
夏座敷父はともだちがいない こしのゆみこ
海鳴やこの夕焼に父捨てむ 奥坂まや
蓑虫の父となくべき父もなく 会津八一
手が見えて父が落葉の山歩く 飯田龍太
雪女郎おそろし父の恋恐ろし 中村草田男
冬の山父よ父よと錠を鎖し 柿本多映
雪野へと続く個室に父は臥す 櫂未知子
臨終なる父の口から波の音 仁平 勝
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