樋口由紀子
飲んでほし やめても欲しい酒をつぎ
麻生葭乃 (あそう・よしの) 1893~1981
お酒の美味しい季節である。秋の夜長、ついつい飲みすぎてしまう。夫が機嫌よくお酒を飲んでいる。しあわせそうな顔をしている。このままずっとその気分のままで飲ませてあげたい。しかし、深酒は身体によくない。明日にも差し障る。あと一杯だけと思いながら、つい酌いでしまう。
麻生葭乃は「川柳雑誌」(後の「川柳塔」)を創刊した麻生路郎夫人。路郎の川柳活動を支え、四男五女を育てた賢婦人である。彼女自身も明治末年から川柳を書き、「川雑婦人の会」などで女性作家を指導、尽力した。
葭乃自身もお酒を嗜んだらしい。だから、いっそう酒のうまさもこわさもわかっていたのだろう。〈福壽草松にしたがいそろかしこ〉〈悪人へ陽は燦々と惜しみなく〉『福壽草』(1955年 川柳雑誌社刊)
2 件のコメント:
呑んでよし肴もよろし口弾む
鬱ぢゃない泡盛の手術中に年収アップ
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