〔俳誌拝読〕
『紙猫』仔猫句会十周年記念作品集(2024年1月)
A5判・本文46頁。京阪神を吟行する「仔猫句会」参加者による作品集(各15句)。
凧ゆれてうつかり猫のゐる暮らし 伊藤左知子
寒禽の明るきこゑのまま売られ 伊藤蕃果
時の記念日カピバラの鼻の穴 岡田由季
双六の上で眠ってしまう猫 木村オサム
願かけて酒ひっかけて法善寺 毬月
無人駅から無人駅まで雪野 蔵田ひろし
こでまりのぽんぽんと日を弾きをり 小寺美紀
月光とウツボカズラに吸い込まれ 小林かんな
とろ箱に霰打つなり糶の果 堺谷真人
2013年8月錦市場
賀茂茄子のはちきれさうに顔うつす 津川絵理子
トンネルに囀ひとつ迷ひ込む 月野ぽぽな
喃喃と葉牡丹の渦開きけり 仲田陽子
いつまでも雪へ小さく欠伸して 中山奈々
智恵光院上ル野猫と草の絮 羽田野令
全員で見る風船の行方かな 原知子
焼芋に根性のありまだぬくし 森尾ようこ
手を拭けば雲雀は高く鳴いており 森澤程
行く秋の知音知音と鉦の音 矢野公雄
放哉忌中古レコード屋を巡る 山本真也
(西原天気・記)
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