西原天気
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
昼寝覚大きな空の風が吹く 九里順子
昼寝と空がつながり、気持ちのいいこと、このうえない句。
ところで、細かいことをいえば、《大きな空の/風》なのか《大きな/空の風》なのか。俳句に限らず、また日本語に限らず(?)、形容詞がどこにかかるのか問題は、たびたび生じる。
前者を、説明的に退屈に解きほぐせば、大きな空を吹き渡る、あるいは大きな空から吹いてくる風ということになろうか。後者は、空を吹く風、あるいは空から吹いてくる風が大きいという、ある種の感嘆・興趣となろうか。
助詞「の」は、とりわけ俳句の中の「の」は、だいたいの場合、多義性を備えていて、一筋縄にはゆかない。
閑話休題。前者か、後者か。
ちょっと考えてみて、どちらでもいい、という自分の答え。
意味を限定・確定させる必要もないので、《大きな空の風》と、ひとかたまりに捉えて、飲み込む、あるいは、この句の昼寝人のように、一身に受け止める。
いずれにせよ気持ちの良い目覚め。
掲句は九里順子句集『日々』(2024年2月/鬣の会)より。
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