うしなわれたクのことをおもう
福田若之
脚立。キャタツ。キャタ、という響きを含んだ語は日本語ではとても珍しい。カタカナ語を除いたら、たぶん、脚立以外にはないと思う。カタカナ語では、たとえば、キャタピラー。
脚の唐音での読みがキャなのだという。キャクは、漢音。要するに、時代をくだるにつれてキャクからクの音がうしなわれたのは、中国語においてのことだったというわけだ。日本語において、たとえばキャクタツ→キャッタツ→キャタツといった変化があったわけではない。
けれど、キャタツは重箱読みだから、このキャタは純然たる中国語の響きではない。この不思議な響きは、中国語の音と日本語の音の結合の賜物というわけだ。
2015/3/1
1 件のコメント:
ひとつ、これを書いたときに勘違いしていたことがありました。
「脚立」は「脚榻子」という中国語に日本で別の漢字を当てなおしたものであって、いわゆる重箱読みの言葉とは成り立ちが異なっているようです。つまり、この音は中国語と日本語の混合ではなく、完全に中国語に由来しているということです。
以上、簡単にですが、訂正させていただきます。
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