メラメラ感
福田若之
漢字で書くとき、なんとなく、虫のほたるは「螢」と旧字で書きたくて、「蛍光ペン」は新字で書きたいと思う。あるひととのやりとりでその話題になって、その区別は、よくわからないと返された。たしかに、うまく説明できない。
おそらく、慣れの問題というのはある。「蛍光ペン」は、「螢光ペン」として売られていることはまずない。 「蛍光灯」もしかり。
けれど、虫のほたるについて書くとき、「螢」という字の何が捨てがたいって、このメラメラ感だ。物としての蛍光ペンや蛍光灯に備わっていないメラメラ感が、螢の明滅にはたしかにある。
「營み」や「榮え」も、おそらく、古代には、そんなふうにメラメラしていたのだろう。人間の営みがなによりも火と切り離せなかった頃、火が繁栄のなによりの象徴だった頃が、きっと、かつてあったに違いない。
そして、鶯にあたえられた謎のメラメラ感。
2016/4/6
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