樋口由紀子
身の程は五尺十三貫五百
後藤閑人 (ごとう・かんじん) 1913~1980
「身の程」というのは自分の身分、地位、能力などをいうのであって、身体の大きさをいうのではない。五尺は151.5センチ、十三貫五百は50.6キロ。現代ではもちろん、この当時の男の人にしてもかなり小柄である。作者のことだろう。
自分はこれぐらいの人間だと自嘲ではなく自恃だろう。自分というものをよく知っている。私の父も男性としては小柄な方だった。だからというわけではないが、勤勉家で負けず嫌いだった。無理をしているなあと子ども心に思っていたこともあった。この句を見つけて、久しぶりに父を思い出した。
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