樋口由紀子
おじいさんのシャツを着ているおばあさん
伊藤為雄
近年は男女兼用の、あるいはユニセックスの服は多く売られているが、一昔前までは男性用と女性用の衣類は明らかに区別されていた。そんな時代におばあさんはおじいさんおシャツを着ていた。そんな日常の小さな一瞬を、実体からアプローチしている。
おじいさんが愛用していたシャツを主が居なくなったあとにおばあさんが着ているのだろう。少し大きめで丈も長く、おせいじにも身に合っているといえないけれど、そんなことはおかまいなしに飄々と着ている。そのようにして、おばあさんはおじいさんの亡き後を生きていく。そのおかし感とぬけぬけ感で日常とのズレを修復している。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿