樋口由紀子
火柱の中にわたしの駅がある
大西泰世(おおにし・やすよ)1949~
かなりテンションの高い、情熱的な川柳である。そう言い切る作者の像が鮮明に浮かび上がる。「火柱の中」という特定の仕方に強さと迫力があると同時に切ない思いがある。実景と比喩が重なり合う。ここまで言い切るのは一体どんな覚悟があってのことなのだろうか。
以前までは「わたしの駅」は「火柱の中」ではなかった。しかし、出来事などの何かが原因で、そのために環境や価値などの何かが変化し、そう決意した。「私」がいまここに存在し、これが私の生き方なのだ。「私小説」スタイルの川柳である。『椿事』(1983年刊 砂子屋書房)所収。
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