樋口由紀子
ぶら下がっていればそのうち赤くなる
須川柊子 (すかわ・とうこ) 1958~
秋の実が色づいている。その実を見て、我が身に引き寄せている。おとなしくぶらさがっていれば、お日さまや雨が実を熟してくれる。人生はなるようにしかならない。与えられたところで、あるがままにしていくしかない。じたばたしてもしかたがない。諦念だろう。
福山雅治が結婚して、女性ファンから悲鳴が上がったそうである。確かうちの娘もファンだったはず、早速LINEを入れてみた。「あっ、そう」と素っ気ない返信がきた。追伸で掲句を送ったら、同じように「あっ、そう」だろうか、それとも無視するだろうか。
人生はそんなもんである。というか、そうするよりほかはないことが多い。「ぶら下がって」がいかにも川柳っぽい。〈ハーハーと息をかけても青い空〉〈ブツブツを付けてもゴーヤにはなれず〉 「川柳杜人」秋号(2015年刊)収録。
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