Nと川崎長太郎
瀬戸正洋
古書オンラインショツプで、川崎長太郎の『抹香町』(講談社、昭和二十九年刊、初版)を手に入れた。私は、二十歳代に川崎長太郎の初版本を集めていた。小田原市内の書店で創作集、随筆集の新刊の初版本を買い求めた。「抹香町」という創作集は、その頃、エポナ出版から復刻版が出ていたが買わなかった。もちろん、古書店へ行くほどのお金は持ってはいなかった。その後、没後三十年記念出版で、講談社文芸文庫から六冊の創作集、随筆集が出ている。今でも、小田原市内の書店では、新刊の文庫本が六冊揃って棚に並んでいる。
Nとは、その頃からの付き合いで、今でも、書き続けている。突然、歌集が送られてきたので驚き、礼状をと思い書きはじめたのだが、書いているうちに、「週刊俳句」に投稿したくなった。それで、村田篠さんにお願いした次第である。そして、第242号(西暦2011年12月11日)に掲載していただいた。自薦というのは、おこがましいので自選ということにしていただければ幸甚である。これは、『俳句と雑文B』にも収録した。
西一村 歌集『夏の鉄橋』を読む
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2011/12/blog-post_1966.html
何故、Nと川崎長太郎なのかはわからない。二十歳代のころは、何となくイメージで似ているような気がしていた。
だが、川崎長太郎を読み返してみると、生に対する怨念のようなものが感じられ、そのド迫力に圧倒される。師である徳田秋声に対しても容赦がない。私は、川崎長太郎の創作集を十数冊持っている。目さえ疲れないようにすれば、通勤往復四時間の退屈な時間が貴重な時間となる。
Nは、詩集を出すと言っている。この一文は、その激励文でもある。
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