あねはあねもね ● さいばら天気
ことばには「音」がある〔*1〕。このことがどれだけ愉しいことか。
「ジョイマン」というお笑いコンビを観て、愉快になった。いわゆるラップ風に発せられる語が、脚韻を踏む。一部書き抜いてみた。
友達以上 恋人未満 モーガン・フリーマン
七転び 八起き 生わさび 歯茎
I need you 墨汁 I Want you 蟯虫
http://jp.youtube.com/watch?v=7_PUp8y7P-M
ガタンゴトン ヴィトン
バーバリー マーガリン
ムーミン 永眠
ダルビッシュ ティッシュ
リンスイン 本みりん
http://jp.youtube.com/watch?v=cl-LHJgvT_M (1分20秒あたりから)
音を遊び、音の遊びを聞く。といっても、そこから意味がすっぽり抜け落ちるわけではない。音が先行することで、意味がとっちらかる。正座から足を崩して、魅力的な姿態を見せることがある。
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踏韻は、駄洒落の様相も帯びる。
(誤) 姉はアネモネ一行一句の毛は成りぬ 攝津幸彦
訂正 08/07/28 10:38 コメント欄参照
(正) 姉にアネモネ一行一句の毛は成りぬ 攝津幸彦
攝津幸彦の成分のうち約8パーセントは駄洒落である。これはまことにすばらしいことだ。
〔*1〕この言い方では、事の次第が逆であることは承知している。「ことば」よりも先に「音」があったのであり、ことばに存する音をことさら有り難がるのは奇異ともいえる。だが、こうして「無音の文字」を書き連ねながら、あえて、「音」や「声」を言祝ぎたい。
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2008年7月28日月曜日
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4 件のコメント:
たしか、「姉にアネモネ」ではなかったかと。「に」の方が良いような気がします。
『攝津幸彦選集』(天気さんが推奨したので買いました)によれば、第一句集『姉にアネモネ』では、原句は、
姉にアネモネ一行一句の毛は成りぬ
第二句集『鳥子』では、「姉にあねもね」の章を設け、
姉にあねもね一行一句の毛は成りぬ
と推敲しています。「アネモネ」だと花という縛りが出過ぎるので、平仮名にして「あのねのね」への横滑りを加えたのでしょう。
ゴメマムシ。『鳥子』は、
姉にあねもね一行一句の毛は成りぬ
ではなくて、
姉にあねもね一行二句の毛は成りぬ
と取り合わせの含みを持たせています。
わたくしは原句の方が好みです。
訂正ありがとうございます。
掲句、直しておきます。
(タイトルはそのまま)
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