〔週末俳句〕四文字ワード
千野千佳
先日、テレビ番組で四文字ワードだけでロケを乗り切るという企画を観た。俳句的な企画だと思った。文字制限があるなかで、状況に当てはまる言葉を探すゲームだからだ。
この四文字ワードゲームを実際にやってみた。
ちょうど夫がお風呂から出てきた。
私「あがった?」
夫「うん」寒そうにしている。
私「エアコン」と言ってエアコンを消す。
夫「ありがとう」
私「こちらへ」と言って夫をテーブルへ誘導。
「ビーフン」と言ってコンビニで買ったビーフンのお惣菜のビニールをはがす。
「しずかに」と言って電子レンジの扉を開ける。(先日、電子レンジの扉の開け閉めがうるさいと夫に文句を言われたのであてつけで言っている)
「みそしる」と言って鍋を火にかける。みそ汁が沸騰しはじめたら「いかほど?」と聞く。(先日、みそ汁が熱すぎると夫に文句を言われたのであてつけで言っている)
夫「ごめんねぇ」と笑っている。
私「たこやき?」「まってて」冷凍のたこ焼きをレンジで温める。私「おまたせ」「あおのり」「かけてね」
夫、みそ汁のおかわりを催促。私「もうない」「ごめんね」
テレビで横浜横須賀道路を車が逆走したというニュース。私「よこよこ!」(※横浜横須賀道路の略)
夫、チョコプリンを食べている。私「ひとくち」「ちょうだい」あーん、と口を開ける。「のうこう」「あとひく」「しあわせ」
私「今日の私、なにか変じゃない?気がつかない?」と聞くと、夫「わからない」とのこと。
四文字だけで夫婦の会話は成り立つようだ。
いつもよりジェスチャーや表情が大げさになり、上機嫌にみえたのかもしれない。
このゲーム、単調な毎日に飽きたときにいい。日常生活にちょうどよい課題を与えてくれる。
あるいは苦手なひとと話すときや、気乗りしない飲み会のときにひそかにやってみるといいと思う。「うんうん」「そうだね」「なるほど」などで適当に相づちをうち、四文字ワードを見つけたらテンションが上がって「エイヒレ!」なとど叫んでしまいそうだ。