『鷹』2019年7月号
A5判・本文152ページ。発行人:小川軽舟(「鷹」主宰)。
今号の特集「平成、あの年」では、元年から30年まで各年を結社内外の著者が振り返るという趣向。社会事象と私事、俳句の絡め方や按配は書き手それぞれ。ざっくりと平成ではなく1年ごとに焦点を当てた企画が奏功か、また1年1ページという分量のせいか、面白く読める。
若手(どこまでを若手と呼ぶかは置いておいて)の書き手も、五島高資、竹岡一郎、高山れおな、村上鞆彦、神野紗希、関悦史、福田若之、鴇田智哉、髙柳克弘、生駒大祐(登場順)と多く、全体の3分の1を占める。
ところで、小誌『週刊俳句』は平成19年創刊だから、平成後期3分の1を過ごしたことになる。その年の担当は小川軽舟。小川氏の『俳句』誌での「現代俳句時評」連載に触れてあり、そういえば、小誌でも取り上げたことがある(≫こちら)。
ついでに(ということもないが)記しておくと、震災の年2011年は、福田若之「かもめの写真」。
(…)そのしがらみを、ひとびとがしきりに《絆》と呼ぶのが聞こえた。僕には、そんなふうに美しく生きることができなかった。だからといって、しばらくの月日が過ぎたのちに、《詩の被災》などというそれ自体およそ詩的な繊細さに欠けた殺し文句が、どこか得意げな表情でひとびとを戒めようとしたのにも、それはそれで、苛立ちを禁じえなかった。(福田若之)
(西原天気・記)