【みみず・ぶっくす04】果て近き秋 小津夜景
小津夜景
【みみず・ぶっくす 04】果て近き秋
つばさなき肺や膨らす秋の暮
梨をむく指に手紙のあふれたり
音も秋はかろき傷のやうに笑ふ
鹿の恋瞠るあらくれ坊主かな
酔郷や死にゆくものに荻の髷
逆巻くも絮は前科を身ごもらず
その昔絶えて鼓膜を航くことり
今を離れ此処に恋しき火を抱く
そよと笑む淵より龍を引き揚げて
存在の軽さと草を闘はす
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不定期・正午更新●『週刊俳句』の裏モノ●another side of HAIKU WEEKLY
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