樋口由紀子
スタートライン棒一本ですぐ引ける
濱山哲也(はまやま・てつや)1961~
ああ、確かにと思った。たった、それだけで始まるのだ。しかし、たったそれだけのことがなかなかできない。何かを始めようとするとき、何かをしなければならないときに私はいつも言い訳をする。言い訳だけはすぐに思いつき、結局は何もしない。そんな、我が身を反省する。
一句を読むことによって、日常を捉え直すきっかけを与えられる。たぶん、作者も書くことによって我が身に言い聞かせて、自分を振り返っているのだと思う。
〈おっとっとおっととっとと生きている〉〈ぶっちゃけた話はしない侘と寂〉〈骨よりも心のほうが折れやすい〉〈金持ちになって私を助けたい〉。どの句にも自分らしさを入れた着眼のおもしろさがある。『川柳作家ベストコレクション 濱山哲也』(2018年刊 新葉館出版)所収。
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