〔週末俳句〕
夏が終わる
西原天気
短歌の現在を概観する講演を聞きに出かけた。参考文献のひとつとして挙げられた山田航編著『桜前線開架宣言』(2015年/左右社)に関して、かねてよりひとつ疑問というか興味があった。それは、帯の背に記された惹句「二十一世紀は短歌が勝ちます」を、みな、どう読むのだろう、ということ。惹句制作者の〈意図〉ではない。目にした人の受け取り方のことだ。
「二十一世紀は」というのだから、二十世紀は〈負けていた〉のか。
勝ち負けは相対だから、相手がいる。短歌が勝つ相手は何なのだろう。
あるいは、相対ではなく(つまり相手がいるのではなく)、短歌が「勝利」を手にするのか。
人によって、この惹句の読みは変わってきそうだ。
その日の講演者にそのへんのことを質問したかったが、質問時間は設けられていなかった。懇親会で話す機会はあったが、その時点では「勝ちます」問題のことはすっかり忘れていた。
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『しばかぶれ』第二集(2018年7月30日/堀下翔編集)に収められた島田牙城インタビューがおもしろい。具体的なエピソードの豊富さにくわえ、質問への応答といったスタイルについてまわる堅苦しさや構えた感じから遠く、炉辺話のような、いい意味の弛緩、気さくが愉しい。
2018年8月19日日曜日
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