黒岩徳将
実や月間口千金の通り町 芭蕉
『江戸通町』より。延宝六年作。「実」は「げに」と読む。謡曲に頻出する語であった。ほんとうにまあ、ぐらいのニュアンスだろう。間口千金は間口一間(約1・8メートル)の地価が千両(1両=10万円とすると1億)にあたる繁盛した商業地のことを言う。通り町は今の江戸の神田から新橋辺りまでの商店街。現在の「中央通り」を指すと言われている。実や月、の打ち出し方はさすがは談林調といった派手さだ。きっとこの月は、通りのセンターに位置するのだろうと思う。江戸の繁栄を詠い上げた。
友人に聞いたところ、銀座高島屋は外国人向けの商法にシフトしているらしく、玄人客は日本橋高島屋に行くらしい。この句も、どちらかというと銀座よりも日本橋で月を見上げるときに思い返したい。
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