2017年1月24日火曜日

〔ためしがき〕 新年詠の推敲 福田若之

〔ためしがき〕
新年詠の推敲

福田若之


今年の新年詠は

正月二日の論文に降る明治の雪

と書いた。けれど、論文提出後の今にして思えば、

正月二日の論文に降れ明治の雪

とするほうが、書きたかったことにより近い気がする。巧拙はどうあれ、後の方を採ろうと思う。

「べき」論を拒否して以来、僕は自分の俳句から命令形を遠ざけがちになったし、まれに命令形の表現をとりいれる場合にも、たとえば《隣人を愛せよ私有せよダリア》というふうに、イロニーになりがちだったと思う(この句の命令形は要するに《ボタンを押せば誰でもいい誰かが来るドリアをひとつ》と同種のイロニーではないだろうか)。けれど、もし命令形が「存在への希望」とでも言いうるようなある情動を表現する言葉となりうるなら、僕は、命令形をあらためて肯定的なかたちで自らの句に導入することができるかもしれない。「光あれ」は、光がいまだここに存在しない場合には、命令形ではあっても命令ではない。命じられるものが、いまだここに無いのだから。

2017/1/16

2017年1月23日月曜日

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週俳の記事募集


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2017年1月21日土曜日

【人名さん】千昌夫

【人名さん】
千昌夫


千昌夫いない枯野の快晴よ  岡村知昭


参照画像

2017年1月20日金曜日

●金曜日の川柳〔西山金悦〕樋口由紀子



樋口由紀子






手術記念日鰯の味が舌にある

西山金悦 (にしやま・きんえつ) 1930~

手術して一年が経ったのだろう。一年前のこの日、それなりの覚悟をもって手術に臨んだ。おかげさまで手術は成功し、鰯の、その青魚の味がしっかりわかるようになるまで回復した。味がわかるという単純な事実は健康なときはあたりまえだったが、病気をしてはじめて、食物の味がわかることはもったいないくらい尊いことなのだとわかった。感慨の「手術記念日」、具体的な「鰯の味」の言葉が功を奏している。

六十歳に大きな手術を受けたときの作品であるらしい。生きていることのありがたさ、健康でいるよろこびが直に伝わってくる。私のまわりにも体調を崩している人がいる。年齢を重ねるとある程度病も受け入れざるを得なくなる。だから余計に健康のありがたみもわかる。この一年なによりも健康でありますように。『天道虫』(1993年刊)所収。

2017年1月19日木曜日

【裏・真説温泉あんま芸者】句集の読み方 その7・本文 西原天気

【裏・真説温泉あんま芸者】
句集の読み方 その7・本文

西原天気


句集の本文とは、言うまでもなく、句。

並べ方は、大きく2通り。

A:編年体。

句をつくった順に並べる。昔ほど前のページに来るのが一般的(逆は、1冊くらいしか記憶にない)。

B:非・編年体。

作成年月日とは無関係に並べる。


なお、いずれも、季節の順に並べるのが一般的。


A 編年体〕にせずB 非・編年体〕にする理由は、大きく2つ。

C:ある種の意図、読まれたときの効果を狙う。

D:いつ作った句かわからない/忘れた。自句を整理していない。

あんがいDが多いと推測され(例:私)、A 編年体〕を採る俳人は、結社で真面目にやっている人が多いのは、数年間の結社誌を見れば、制作順は一目瞭然だから、か。

A 編年体〕は作者事情(読者にとっては、いつ作ったのかなんて知ったこっちゃない)、〔B 非・編年体〕はいちおう読者事情だが、Dの理由だと、大きなことは言えない。


経験的に、A 編年体〕だろうとB 非・編年体〕だろうと、句集全体の印象にそれほどの差は出ない。

句の順序は重要なようでいて、それで嵩増しされる価値は知れている。おもしろい(広義の「おもしろい」です。蛇足ながら)句が多い句集は、どう並んでいようがおもしろい(逆も同様)。

作者が苦労して並べるわりに、効果は限定的。

なので、これから句集をつくる人は、気楽に並べればいいです。

ただ、最初のあたりは気を使ってもいいかもしれません。数ページで読む気をなくすという並べ方は、つくる人としても残念だと思うので。