樋口由紀子
終らないものにかけてるマヨネーズ
米山明日歌 (よねやま・あすか)
「終わらないもの」とは何だろうか。見通しのたたないもの、解決できないものだろう。作者の心のうちにある自我の痛みのようなものかもしれない。ピリオドを打ちたくても打てない。そういうときに人は自分なりのやり方で対処しようとするか、あるいは諦めの心境に切り替えようとする。
味をなんとかしたいときのマヨネーズは万能の調味料である。それを「終わらないもの」にぎゅっとしぼってかけてみた。マヨネーズにはなにがしかの霊力のようなものがそなわっていて、効き目があるかと思ったが、やっぱりだめである。「終わらないもの」は終わらないままにずっとそこに居続けている。それはそれでしかたがないことなのかもしれない。「マヨネーズ」で抒情を出すことができる。「おかじょうき」(2017年刊)収録。
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