人恐ぢぬ世々の掟の鶴の声 打越
下馬より奥は玉の摺石 前句
下馬より奥は玉の摺石 前句
初祖達广問へど答へぬ座禅堂 付句(通算63句目)
『西鶴独吟百韻自註絵巻』(1692年頃)
【付句】三ノ折・表13句目。 月の座だが、9句目に引きあげているのでここは雑(釈教)。 初祖達广(しよそだるま)=中国禅宗の始祖、達磨大師。 座禅堂=達磨大師の金色の座像を安置してある祖師堂。
【句意】達磨大師は問うても答えずに座禅堂に安置されている(もとより座像なのだから答えはしない)。
【付け・転じ】前句の神域を禅寺の境内に見替え、達磨大師の座像をクローズアップした。
【自註】爰(ここ)は前句を山門に付寄せ、*唐作りの禅寺に見なし、森々として殊勝さ、本堂・**食堂(じきだう)につゞきて***達磨堂の立たせ給ふに仕立て侍る。
【句意】達磨大師は問うても答えずに座禅堂に安置されている(もとより座像なのだから答えはしない)。
【付け・転じ】前句の神域を禅寺の境内に見替え、達磨大師の座像をクローズアップした。
【自註】爰(ここ)は前句を山門に付寄せ、*唐作りの禅寺に見なし、森々として殊勝さ、本堂・**食堂(じきだう)につゞきて***達磨堂の立たせ給ふに仕立て侍る。
*唐(から)作りの禅寺=黄檗宗の明朝様式による寺院。
**食堂=本堂の東廊に続く。
***達磨堂=祖師堂。
【意訳】ここは前句を寺の楼門に付けなし、さらにそれを明朝風建築の禅寺と見なし、樹木の生い茂った厳かさ、本堂・食堂に続いて祖師堂を立てなさった様に仕立てたのです。
【三工程】
(前句)下馬より奥は玉の摺石
森々として殊勝なる山門ぞ 〔見込〕
↓
↓
唐作りなる禅寺の達磨堂 〔趣向〕
↓
初祖達广問へど答へぬ座禅堂 〔句作〕
↓
初祖達广問へど答へぬ座禅堂 〔句作〕
神社の境内を寺のそれに見替え〔見込〕、〈どのような寺か〉と問うて、明朝様式の禅寺(黄檗宗)とし〔趣向〕、祖師堂に安置された達磨大師の座像に焦点をしぼった〔句作〕。
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「……そやったか」
はい、〈夜がたりの夢が残りて安楽寺/是も思へば天神七代〉というのがーー。
「そら安楽寺は天満宮の神宮寺やから、天神さんにはよう付く。転じ、いうより、付け、やろ」
なるほど、神仏習合ですね。
「なんや神仏集合いうんは。地口かいな」
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