手紙
山田露結
隣町の住宅街の中にぽつんと立っている昔ながらの郵便ポスト。
以前からこのポストの前を通る度に「古いポストがあるなぁ。」と気にはしているのだが、利用したことはない。
裏側にはちゃんと回収時刻が書いてあるから、おそらく、今も現役だと思う。
一度、このポストへ手紙を投函しようと思って、でも、本当に手紙が届くかどうか不安になってやめてしまったことがある。
もしかしたら、これは昔のポストだから、ここへ投函した手紙はタイムスリップして、昔へ届いてしまわないだろうか、などとあり得ない心配をしたりして。
今日、久しぶりにこのポストの前を通りかかって、ふと小学生の頃のタイムカプセルのイベントのことを思い出した。
子供たちが未来の自分へ手紙を書いて、それをタイムカプセルに入れ、何十年か後にそのカプセルを開いて大人になった子供たちがそれぞれ自分宛の手紙を読むという学校の行事だったと思う。
あのときは未来の自分へ手紙を書いた。
でも、もしこのポストへ投函した手紙が昔の自分へ届くとしたら、さて、オレは子供の頃の自分へどんな手紙を書くだろうか。
火曜日は手紙のつく日冬籠 高野素十
2010年12月17日金曜日
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