2019年2月25日月曜日

●月曜日の一句〔鶴岡行馬〕相子智恵



相子智恵






鷄のため貝殻つぶし卒業す  鶴岡行馬

句集『酒ほがひ』(邑書林 2018.9)所収

鶏の餌に貝殻を混ぜて与える。普通の餌だけではカルシウムが足りないのだ。卵が商品となる養鶏場では、卵の殻を硬くするために貝殻の粉を混ぜることが多いようだが、掲句は〈卒業す〉だから、学校で飼われている鶏で、きっと小学校だろう。

鶏を大切に育ててきた6年生の飼育係の子どもが目に浮かんでくる。商売のための養鶏なら、貝殻を混ぜるのは「丈夫で商品価値の高い卵のため」になるのだが、この子が貝殻を潰しているのは純粋に〈鷄のため〉なのだ。しかも授業とは関係なく、自分が卒業していなくなっても鶏が変わらず元気でいられるように、たっぷり貝殻を残そうと、卒業間際の飼育小屋で黙々と貝殻を潰し続けている。淡々と描かれた一句からこぼれる純真さが眩しい。

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