樋口由紀子
なが~い廊下の話だが 聞くか?
奈良一艘(なら・いっそう)1947~2024
秋の夜長、あたりがだんだん漆黒の闇となり、し~んとしてきた。重い口をやおら開いて、静かに「聞くか?」と問いかけてくる。「廊下の話」は寓意だろう。過ってはピカピカで磨き上げられていたが、今は埃が積もっている。
子ども頃の祖父母の家の廊下を思い出した。トイレに続く廊下は長くて暗くて、どこまで行ってもトイレに着けないような気がした。そして、決して走ってはいけないところだった。
生きているということは人の死に出遭うことである。また一人、個性的な川柳人が亡くなった。『川柳作家ベストコレクション奈良一艘』所収。
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