天使
蠅生れ天使の翼ひろげたり 西東三鬼
遅日このパスタ天使の男性器 佐山哲郎
孔質天使誘い来る夜の突風 江里昭彦
月明の階を降りくる夢精の天使 八木三日女
昼寝にはじやまな天使の羽根であり 雪我狂流〔*〕
〔*〕『俳コレ』(2011年12月・邑書林)より
2012年7月5日木曜日
2012年7月4日水曜日
2012年7月3日火曜日
【俳誌拝読】『雷魚』91号を読む 西原天気
【俳誌拝読】
『雷魚』91号(2012年7月1日)を読む
西原天気
発行人・小宅容義。B5判・本文40頁。同人2名の特別作品(各20句)、同人諸氏各10句が並ぶ。以下、気ままに。
じふぶんな太さの上の葱坊主 勝又民樹
啄木忌五円切手を貼りました 関戸美智子
けふ二月二十九日ぞ馬鹿をせむ 松下道臣
天変地異さざえのふたのうらおもて 三橋孝子
如月の封書の中の片寄れる 宮路久子
恋果つる猫にうやうやしき睫毛 茂田慶花
町じゅうの桜が見えて桜山 森 章
水槽をあふれて春の水となる 山中理恵
花散ってしまった伊豆の亀レース 遊佐光子
うぐいすや鏡はものを近くする 好井由江
櫻さんぐわつ蒲鉾の噛み應へ 太田うさぎ
死角に海死角に都忘れかな 大塚阿澄
村の香の人の香となり鶏合 岡本高明
蝶だとは判らぬほどの遠さかな 小宅容義
あき缶の爛れておりぬ野焼きかな 神山 宏
をとこ三人白玉食うて別れけり 亀田虎童子
連翹の迂闊に息を合わせたり 北上正枝
永き日や渡りし橋を振り返り 小島良子
電線に数万ボルト囀れり 小林幹彦
うすらいにすり傷ほどの風のあと 櫻井ゆか
波音の祭り囃子に乗っ込みぬ 鈴木夏子
蛇を入れ一本の木の静かなり 蘓原三代
紫蘇の実を箸でしごくみ七年忌 竹内弘子
涅槃図を見終つて靴篦使ふ 寺澤一雄
黒傘をにほひすみれの土に突く 遠山陽子
陽炎ひてキリンの顔は空にあり 平佐悦子
行く春の空席ひとつまたひとつ 細根 栞
凡そ世界に不眠の吾と秋の蠅 増田陽一
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『雷魚』91号(2012年7月1日)を読む
西原天気
発行人・小宅容義。B5判・本文40頁。同人2名の特別作品(各20句)、同人諸氏各10句が並ぶ。以下、気ままに。
じふぶんな太さの上の葱坊主 勝又民樹
啄木忌五円切手を貼りました 関戸美智子
けふ二月二十九日ぞ馬鹿をせむ 松下道臣
天変地異さざえのふたのうらおもて 三橋孝子
如月の封書の中の片寄れる 宮路久子
恋果つる猫にうやうやしき睫毛 茂田慶花
町じゅうの桜が見えて桜山 森 章
水槽をあふれて春の水となる 山中理恵
花散ってしまった伊豆の亀レース 遊佐光子
うぐいすや鏡はものを近くする 好井由江
櫻さんぐわつ蒲鉾の噛み應へ 太田うさぎ
死角に海死角に都忘れかな 大塚阿澄
村の香の人の香となり鶏合 岡本高明
蝶だとは判らぬほどの遠さかな 小宅容義
あき缶の爛れておりぬ野焼きかな 神山 宏
をとこ三人白玉食うて別れけり 亀田虎童子
連翹の迂闊に息を合わせたり 北上正枝
永き日や渡りし橋を振り返り 小島良子
電線に数万ボルト囀れり 小林幹彦
うすらいにすり傷ほどの風のあと 櫻井ゆか
波音の祭り囃子に乗っ込みぬ 鈴木夏子
蛇を入れ一本の木の静かなり 蘓原三代
紫蘇の実を箸でしごくみ七年忌 竹内弘子
涅槃図を見終つて靴篦使ふ 寺澤一雄
黒傘をにほひすみれの土に突く 遠山陽子
陽炎ひてキリンの顔は空にあり 平佐悦子
行く春の空席ひとつまたひとつ 細根 栞
凡そ世界に不眠の吾と秋の蠅 増田陽一
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2012年7月2日月曜日
●月曜日の一句〔久保純夫〕 相子智恵

相子智恵
紫陽花のあちらこちらでるみ子死す 久保純夫
句集『美しき死を真ん中の刹那あるいは永遠』(2012.5/現代俳句協会―現代俳句コレクション・2)より。
誰が書いたのかも、どこで読んだのかも、今となってはまったく思い出せないのに、ディティールだけが妙に心に残っているエッセーがある(たぶんエッセーだと思う…)。出てくる花の名前・人名はすべて仮名でたいへん恐縮だが、たしかこんな話だ。
著者が山へドライブに行ったときのこと。山中で、自分が採ってきた山野草の鉢を並べ売る男がいた。著者は一鉢買おうと、その名前を一つずつ尋ねていく。男は「これはカタクリ」「これはイワカガミ」などと答えるが、いくつか尋ねていくうちに「ええと、これはユミコ」「これは?」「これもユミコ」と答えだす。著者は内心、男が山野草に詳しくなく、知らない花をでたらめな名前で教えられたことに腹が立つのだが、ふと、不器用な男の様子から、男が名前を知らない山野草にはすべて「ユミコ」という忘れられない女の名を付けて呼んでいることに気づき、やるせない気持ちになってそこを立ち去った、という話だった。
掲出の句集は作者の久保純夫が、亡くなった妻で俳人の久保るみ子ただ一人に向けて書いた句日記の、俳句だけを独立させた句集である。2011年1月1日から12月31日まで365日毎日書いたという。妻は1月31日から3月25日まで入院、その後二人の希望で自宅に戻り、6月25日に自宅で亡くなる。妻が亡くなった後も、句日記は書き続けられた。
〈紫陽花のあちらこちら〉に妻はいた。そして死んだ。紫陽花は、ただ紫陽花のみではなく、すべての花のことであり、すべてに妻がいるのだろうと、そう思った。
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2012年7月1日日曜日
〔今週号の表紙〕第271号 港 小津夜景
〔今週号の表紙〕第271号 港
小津夜景

セーヌ河を下ってゆくと、最後はル・アーヴル(Le Havre)の海へ出る。
それでこの町には、船遊びを趣味とする人たちのための駐船場がある。
もっともシーズン以外は、本当に人がまばらだ。
水上のオブジェみたいに、船が並んでいるだけ。
七月、待ちに待ったヴァカンスが始まる。
話によれば、港も、砂浜も、パリジャンたちで二ヶ月あまり溢れ返るそうなのだが、いまだ静まり返った海の気配に「本当かな?」と少し疑っている。

週俳ではトップ写真を募集しています。詳細は≫こちら
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小津夜景

セーヌ河を下ってゆくと、最後はル・アーヴル(Le Havre)の海へ出る。
それでこの町には、船遊びを趣味とする人たちのための駐船場がある。
もっともシーズン以外は、本当に人がまばらだ。
水上のオブジェみたいに、船が並んでいるだけ。
七月、待ちに待ったヴァカンスが始まる。
話によれば、港も、砂浜も、パリジャンたちで二ヶ月あまり溢れ返るそうなのだが、いまだ静まり返った海の気配に「本当かな?」と少し疑っている。

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